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2章 喜劇開幕 1 ファムケ・ビッケル ラスパルマス入港
2章 喜劇開幕

1 ファムケ・ビッケル ラスパルマス入港

 この世の中には海賊港とよばれる稀有な港がいくつもある。

 ナッソーとかホロは知ってる?トゥルトゥーガとか、ポート・ロイヤルの方が有名かな

 つまるところ、問答無用に海賊を受け入れ、各国の査閲を受け入れない港のことね。

 それらの港は、どの国にも属さず、海賊が奪った財産によりうるおい、
海賊のもつ力により保たれている。ある意味海賊の国。
    
 しかしこのラスパルマスは、海賊港とは多少模様が違う。

 名目上はイスパニアの保有港。

 しかしご覧あれ、この停泊している船舶を。

 髑髏のマークの大型ガレー船、
 国旗を記していない大型戦艦、
 武装が猛々しすぎる商船モドキ、などなど。

「わぁおー、ファム、今日のラスパルマスも・・・・・・いかがわしい船で満ち溢れていますね」
 カタラーナが感嘆の声を高く上げ、そして我に返ってコソコソ囁きかえる。

「そのとおり、ラスパルマスはイスパニアと悪党が折衝した街。
悪党はこの街に財産を幾許か落とし、それをイスパニアがコソコソ受け取る。
そういう健全な運営で成り立っている。お金と暴力が発言力を持つ港。
我々にとっては天国に一番近い島ね!」
 彼女のこそこそ加減を面白く思い、一際大きい声を張り上げてみた。

「ファ、ファム、早く届け物をして、か、帰りましょうよ」

「怯えることはないのよ、傍目から見れば、我々も悪党、堂々と胸を張る」

 先行するハンベが振り返る。
「ファム、あの戦列艦がサンキムルナ氏の船では」

 ハンベ。
 背は私と同じくらいで、然程高くはない。5フィートより、ちょっと大きいくらいかな。

 髪は黒。私の黒髪は、遠目には青っぽく見えるらしいけど、彼のは純粋な黒。

 顔のつくりで人種が判る、彼はオリエントの人間、ジパング生まれの人間だ。
 我々にとって一般的にアジア人の顔の造作は見分け難いとされている。
 それは確かにって思い当たる節があるの。そうそう、あれは澳門に行った時、
 チャイナの方の見分けは難しかった。
 だけどだけども、我々から見ても、彼の顔は見分けがつくはず。

 恐らく美醜の感覚は似通っているのかもしれない。

 つまり、こういうことね。

 切れ長の悪魔の様な黒い瞳、血色の悪い薄い唇、然程高くない鼻筋、
 それを以てしても彼は美形だった。

 

 もちろん、私が抱えているのは美醜の問題ではないよ。

 東方で故あって拾ったのだが、なかなか目聡いし、頭も働く。色々重宝する男なの。

 ハンベが私に望遠鏡を手渡す。

 レンズの向こうには、黒光りをする戦列艦。

 マストトップにはためく旗はフランス国旗。

 そして所属商会を示す商会旗には、
 ジェノヴァ共和国、イスパニア、イングランドの国旗に金鷲を描いた旗が揺れる。

 そうそれは、我らが聖ショバンニ総合商社団所属を示す船舶の証。

「戦列艦じゃないか! ルナ氏も本気、気張っているのね、結構、結構」

「で、ファム、ルナ氏のお宿は?」

「決まっているでしょ。あのような人は安宿には泊まらない。
一番高い宿か酒場に向かえば・・・・・・」

 望遠鏡を山の手に向ける。

 少し小高い丘の上に、小洒落た建物を発見。

「ハンベ、あれかも? あそこを調べて」

 私が指さすより早く「了解」と言い残し、ハンベは走り去った。

 ね。目聡いでしょ。最初から目星を付けていたようね。

 そのお陰で私は楽が出来る。

 ハンベが確認から戻る間に、例のブツをルナ氏の船に搬入してしまいましょう。

2.サンキムルナ 禍々しい男


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